電源コラム vol.5「ACアダプタを選ぶ際、押さえるべき4つのポイント」
昨今、電子機器のコンパクト化や小型化・軽量化に伴い、
機器内蔵型の組み込み式電源から外付けのACアダプタに変更されるケースも増えてきています。
「アダプタ(adapter)」とは、「適合する」という意味の単語で、
交流(AC)を直流(DC)に変換し、各種機器の電圧に適合させるための装置です。
この記事では、ACアダプタ選定の際のポイントについて解説します。
【 はじめに:ACアダプタの種類 】
ACアダプタには大きく分けて、トランス方式とスイッチング方式の2種類があります。
●トランス方式(リニア方式・ドロッパー方式)
ACアダプタ内部に大型のコイルでできたトランスという変圧器を内蔵し、
AC電圧(100V)を電源周波数のまま、低い電圧(12V、24V等)に降圧させます。
トランスの「電圧変換部」の他には「整流部」と「平滑部」で構成され、
非常にシンプルな構成で部品点数が少なく安価、ノイズが発生しにくいといったメリットもあります。
ただ、電源周波数をそのまま変圧するトランスは大きく重いため、
ACアダプタも同様に大きく重いものとなり電力変換効率も低く、出力電力が大きくなると発熱が大きくなります。
●スイッチング方式
1990年代ごろよりACアダプタに用いられるようになった主流の方式で、
トランジスタやMOS FETを用いて高速でスイッチをオン・オフすることにより電圧を変化させるため、
トランスの小型化が図れます。
複雑な回路構成となり部品点数が多くなる、スイッチングすることによりノイズが発生する、
といった課題がありますが、小型で軽量なACアダプタを作ることができます。
【 押さえるべき4つのポイント 】
POINT1:出力電流・電流
ACアダプタは、使用する機器の仕様と合致した電圧のものを選択してください。
電流についても同じものが望ましいですが、全く同じ電流値でなくても問題ありません。
ただ、ACアダプタの電流値が使用する機器の電流値よりも低いと故障する可能性や動作しない可能性があります。
もし同一電流のACアダプタが無ければ、
使用する機器の電流値よりも高く、且つ最も近い数値のものを選択するようにしましょう。
POINT2:サイズと形状
ACアダプタのサイズや形状は、設置環境や使用用途に応じて選択する必要があります。
例えば、
・面積は取れるが高さ制約がある → 厚さ〇mm以下の薄型の形状
・狭小スペースに設置する → 長方形よりも長細い形状
・半屋外に設置 → IP67等級の防水仕様
といった形で、それぞれの設置環境により、サイズや形状・仕様があったACアダプタを探してみましょう。
また、出力側のコネクタの種類が使用する機器により異なる可能性があるため、
併せて確認するようにしてください(例:EIAJタイプ、内径サイズと外径サイズ等)。
昨今、PD(パワーデリバリー)規格対応、QC(クイックチャージ)規格対応のACアダプタのご相談も多くなっており、
当社では実績もございますので、ぜひご相談ください。
POINT3:AC側の仕様
ACコンセントから機器までの距離がある場合は、
ACアダプタ本体部より直接プラグが出ている「ストレートタイプ」や「L字タイプ」、「折り畳み式」ではなく
「インレット型」を選択すると、ACケーブルの長さで調整が可能です。
POINT4:安全規格や各種規格への対応
ACアダプタは、機器組み込みではなく電源単体で使用するため、日本ではPSEの取得が必要になります。
詳細は電源コラムvol.2「電源の安全規格について」をご覧ください。
> 電源の安全規格と取得方法が知りたい(電源コラムvol.2)
> 規格取得費用を算出してほしい
製品を海外へ展開される際は、
仕向け国により安全規格をはじめとした各種規格が異なるため、
該当の規格を取得しているACアダプタを選ぶようにしましょう。
【 さいごに 】
ACアダプタ選定の際、まずは要求スペックの汎用品があるかどうか確認されるかと思いますが、
ACアダプタの傾向として、放熱の課題があるため大きな容量のものは汎用品で見つからないケースが多いです。
また、特殊な電圧や特定のコネクタ仕様、筐体形状、且つPSE取得済みのACアダプタなど、
複数の要件に合致したACアダプタは、カスタムでの開発を検討されることをお勧めいたします。
電源のお困りごとは、ぜひLuciまでお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!
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