電源コラム vol.11「過酷な環境に耐える堅牢性:スイッチング電源の耐久性を支える最新技術」
スイッチング電源は、産業機器、車載機器、屋外設置機器など、多岐にわたる分野で使用され、その環境条件もさまざまです。
高温多湿、粉塵、振動、腐食性ガスなど、時に非常に過酷な環境下での動作が求められます。
このような煩雑な環境条件に対し、スイッチング電源は最新の技術を駆使して高い耐久性を確保しています。
本コラムでは、その具体的な技術に焦点を当てて解説します。
1. 広温度範囲対応と熱マネジメント技術
高温・低温環境下での安定動作は、耐久性において非常に重要です。
● 広動作温度範囲部品の採用
スイッチング素子、コンデンサ、抵抗など、使用する全ての部品において、広い動作温度範囲を保証する製品を選定します。
特に、電解コンデンサは温度特性が大きいため、固体高分子コンデンサなど、より温度特性に優れた部品への置き換えが進んでいます。
● 高度な熱設計と冷却技術
熱シミュレーションを活用し、部品の配置最適化や効率的な放熱経路の設計を行います。
自然空冷だけでなく、必要に応じて強制空冷、ヒートパイプ、放熱グリスなどを組み合わせることで、部品の温度上昇を抑制し、長寿命化を図ります。
近年では、基板埋め込みヒートシンクなどの新しい冷却技術も実用化されています。
2. 防塵・防湿・耐腐食技術
粉塵や湿気、腐食性ガスは、電子部品の絶縁不良や腐食を引き起こし、故障の原因となります。
● コーティング技術
基板全体や特定の部品を樹脂やシリコンなどでコーティングすることで、粉塵や湿気から保護します。
用途に応じて、耐薬品性や耐候性に優れたコーティング材が選択されます。
近年では、ナノテクノロジーを活用した薄膜コーティングも注目されています。
● 密閉構造・IP保護等級
屋外や過酷な環境で使用される電源ユニットでは、筐体を密閉構造とし、IP (Ingress Protection) 保護等級を高めることで、水の浸入や粉塵の侵入を防ぎます。
● 耐腐食部品の採用
腐食性ガスの影響を受ける環境下では、端子やコネクタ、筐体などに耐腐食性の高い材料(ステンレス、アルマイト処理など)を使用します。
3. 耐振動・耐衝撃技術
輸送中や動作中に振動や衝撃が加わる環境下では、部品の脱落や基板の破損を防ぐ必要があります。
● SMT (Surface Mount Technology) の強化
リード部品に比べて、SMTは基板への接合面積が広く、振動や衝撃に対する耐性が高いため、積極的に採用されます。
● アンダーフィル材の使用
BGA (Ball Grid Array) などの実装部品の下に樹脂を充填することで、 ストレスを緩和し、信頼性を向上させます。
● 筐体の強化設計と緩衝材の利用
振動や衝撃を吸収するために筐体構造の強化や、内部に緩衝材を使用することで対策します。
4. 環境モニタリングと保護機能の進化
電源ユニット自体が環境の変化を検知し、加えて保護する機能も重要です。
● 温度センサーによる保護
内部温度を常に監視し、異常な温度上昇を検知した場合に、出力を停止するなどの保護機能を搭載します。
● 湿度センサーによる警告
高湿度環境下での長期使用による信頼性低下を防ぐため、湿度を検知して警告を発する機能を搭載する例もあります。
まとめ
現在、スイッチング電源市場では、電源が直面する多様な環境条件に対し、最新の材料技術、設計技術、実装技術、そして保護機能が組み合わされることで、高い耐久性が実現されています。
今後、より過酷な環境下での使用が求められるにつれて、これらの技術はさらに進化していくと考えられます。
Luciでは、お客様の使用環境を詳細にヒアリングし、最適な耐久性設計を施したフルカスタムのスイッチング電源を提供することで、お客様のシステムの安定稼働に貢献してまいります。
屋外環境、高温多湿環境、振動や粉塵のある環境など、過酷な環境での電源をご使用される際は、ぜひ当社へご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!
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