電源コラム vol.3「適切な充電器で性能を最大化する方法」
私たちの生活に欠かせない携帯電話やPC、家電、交通手段である電気自動車や電動自転車、工業用機械など、さまざまな機器に搭載されている蓄電池=バッテリ*へ電気を供給する「充電器」。
こちらも当社がご提案する電源の一つです。
*ここでは充電をすることで繰り返し使用できる二次電池を指します。
充電器はバッテリの充電状態によって適切な電力を供給するための制御回路が必要になります。
「充電器が過充電・過放電してしまう」
「バッテリがすぐに劣化してしまう」
「バッテリが高温になる」
「充電の状況を確認したい」
このようなお困りごとを当社では多くいただいています。
バッテリ仕様に合っていない充電器を使用するとバッテリの劣化や過充電・過放電、異常発熱など、思わぬ事故につながるケースも。
今回は、バッテリの種類からLuciの開発領域までをご案内します。
二次電池の種類
代表的な二次電池の種類とメリット・デメリットについてまとめています。採用の際には二次電池の仕様に合った充電器の用意も必要です。
バッテリ取扱店がセットで販売しているケースもありますが、セット販売が無い場合は標準品から探す、もしくはカスタムでの製作を検討いただく形となります。
【リチウムイオン電池】
メリット:現在使用されている二次電池で最も一般的なもの。自己放電が少なくメモリー効果がない
デメリット:電解液が可燃性溶剤のため発熱・発火の危険あり
【鉛蓄電池】
メリット:古くから使われている出力も安定性も高い電池。安価
デメリット:サイズ・重量が大きく鉛が環境に良くない
【ニッケルカドミウム蓄電池】
メリット:高い出力と耐久性がある
デメリット:メモリー効果*が大きくカドミウムが環境に良くない
【ニッケル水素電池】
メリット:乾電池の代わりに使える充電池で高い容量・長寿命。メモリー効果が少なく環境に優しい
デメリット:自己放電が比較的大きめ
【全固体電池】
メリット:電解質を含むすべての材料が固体で構成。リチウムイオン電池を超える性能に期待
デメリット:高温動作が難しい、連続的な大電流供給が難しい
*メモリー効果とは
バッテリを最後まで使い切ることなく充電する”継ぎ足し充電”が原因で発生し、放電中一時的に電圧が低下する現象のこと。
電圧が低下すると機器が停止するため、バッテリの劣化を疑うが、実際の性能は低下していない。
一度充電池の残量を使い切り、フル充電することで直せる。
Luciの開発領域
【BMS(バッテリマネジメントシステム)の構築】
二次電池を安全、且つ効率的に活用するために必要な充放電を監視・制御します。
二次電池の過充電・過放電による性能劣化や温度管理、セル電圧の均等化などを実現するシステム構築が可能です。
【充電器の充電方式】
Luciではバッテリの出力特性に合った充電方式の充電器提案・開発が可能です。
① 定電圧充電方式
一定の電圧で充電する充電方式です。充電初期には大きな電流が流れますが、充電が進むと充電電流は徐々に低下するため、高効率となります。
電池の温度上昇のし過ぎを防ぐため、充電初期は電圧を低くし、段階的に上げる方法もあります。鉛蓄電池やニッケル水素電池を充電する方法として採用されます。
② 定電流充電方式
一定の電流を保って充電する充電方式で、充電時間の予測が容易です。充電電圧は電流の流れ具合により変化します。
小さな定電流で過充電を防ぎながら充電する方法や、段階的に電流を変化させる方法もあります。
①と同様に、鉛蓄電池やニッケル水素電池の充電方法に採用されます。
③CCCV充電方式(定電流定電圧充電方式)
初めに一定の電流(CC:Constant Current)で充電を行い、電池電圧が指定の値に到達次第、一定の電圧(CV:Constant Voltage)に制御を切り替えて充電を続け、過電圧充電状態を避けつつ満充電まで充電を行う方式です。
リチウムイオン電池の充電方法に採用されます。
【充電器の機能】
充電器に二次電池を保護する機能や便利な機能を付けることができます。
● 急速充電機能:充電時間を短縮
● セル保護・長寿命仕様:単セル充電電圧マージンの設定
● LED表示機能:充電中、充電完了、エラー時等、充電器の状態表示
● 充電停止機能:最適な充電を行うための低温・高温時の充電停止機能
● 保護タイマー設定機能:180/240/300/360分といった充電時間の設定が可能
● 定電圧時の定電流充電機能:定電圧時に定電流充電を行い二次電池への負荷を抑制
● 電圧異常検知機能:電圧値エラー判定時に全機能を停止
● リチャージ機能:自然放電による電圧降下を感知すると再度充電を開始
開発ご相談の際は、採用予定のバッテリの仕様書をご用意ください。そちらをもとに、当社にて最適なスペックの充電器のご提案をさせていただきます。
今回はバッテリの種類や当社の開発領域についてご案内させていただきました。
バッテリ搭載機器の開発を検討される際や、充電器周りに課題をお持ちの方のご参考になれば幸いです。
電源、制御等でお困りごと、ご相談がありましたらぜひLuciへご一報ください。最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!
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