2022.11.21
塗装の外観検査がうまくいかない?
~自動調色調光システム~
自動車工場で白色の車体外装を検査する際、「眩しい!」とつらい思いをしたことはありませんか。
また、黒色の車両と白色の車両をカメラで撮影した時に、明るさを調節しないとうまく撮影できなかったことはないでしょうか。
これは、色によって光の反射率が違うため起こる現象です。
今回は、光の性質(色と光と反射の関係)と、ワークの色に合わせて自動で照明を変化させる「自動調色調光システム」をご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。
「色」とは?
「色」というのは物体に固有色が付いているのではなく、
光の反射によって起きる現象です。
光は波の形をしており、その1回分の長さ、山と山の間を「波長」と呼びます。
この波長が長いと「長波長」、中くらいだと「中波長」、短いと「短波長」と分類されます。
物体の色は、物体の表面がどの波長をより反射し、それ以外の波長を吸収するかによって、決定しているのです。
下図は「分光反射率曲線」といい、どの波長が何%反射しているかを表し、分光反射率曲線のピークの波長がその物体の色相となります。
この図から、
長波長域の反射率が高ければ赤(R)
中波長域の反射率が高ければ緑(G)
低波長域の反射率が高ければ青(B)
の色味が見えます。
さらに、色相だけでなく、明度も光の反射率で決まります。
皆さんは「黒は光を吸収する」という話をよく耳にしませんか。
服でも車でも、白と黒だと黒の方が光を吸収し、熱くなるイメージがありませんか。
それと同じで、白は光の反射率が満遍なく高く、黒は光の反射率が満遍なく低くなっています。
塗装色と照明の関係
さて、光の性質を踏まえて塗装色と照明の関係を考えてみましょう。
白は光をよく反射し、黒は光をよく吸収するので、同じ強さの照明を当てても見え方は異なります。
そのため車体の外観検査をする際は、車体色によって、照明も明るさや色を変えていく必要があるのです。
下の写真は、反射率が高い白色と、反射率が低い濃い赤色の塗装板で検証を行ったときの写真です。
濃い赤色に照明の明るさを合わせると、白色ではハレーション(=反射)が起きてしまいます。
反対に、白色に照明の明るさを合わせると、濃い赤色では暗い撮像*となってしまいます。
※撮像とは、カメラでワークの画像を撮影すること
このように、目視でもカメラでも、
塗装色による照明の変化は環境を整えるために重要な役割を果たします。
Luciでは、自動調色調光システムにより、
この塗装色に合わせた照明の色と明るさを自動で変化させます。
▼ 自動調色イメージ
この「自動調色調光システム」にはLuci製品を追加することもでき、
影の出来ない面発光照明や、曲がる照明などにも対応しております。
眩しさやハレーションに課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。